哲学者二人の「言語」に対する絶大な信頼感

國分功一郎・千葉雅也『言語が消滅する前に』

今日は國分功一郎さんと千葉雅也さんの対談本『言語が消滅する前に』をご紹介します。

この本は千葉雅也さんと國分功一郎さんは40代の哲学者です。この対談本は、國分功一郎さんの『中動態の世界 意志と責任の考古学』と千葉雅也さんの『勉強の哲学ー来るべきバカのために』というそれぞれの著作が刊行された際の対談などを含めた計5本の対談本になります。

今月シン図書館とサタデーブックス共催の読書会では中島岳志さんの『思いがけず利他』を取り上げます。この本では、「利他」とは与えるものではなく受け取るものであるということを、ヒンディー語の「与格」という独特の構文から説明しています。ヒンディー語の「与格」が使われる時は、自分の意志や力が及ばない場面だそうです。

哲学者二人が出した著作両方で共通することは、「言語」から思考を出発させている点

國分さんの『中動態の世界』では、現代は能動態と受動態の言葉しか残っておらず、それが私たちの考え方にも深く影響していることを指摘します。そこで國分さんは、古代ギリシア人には中動態という言語が使われていたことから、今私たちが生きる世界でも受動態と能動態というシステムではアプローチできないものも、中動態であればアプローチできるのではと示します。

また、千葉雅也さんの『勉強の哲学』では、勉強の本質は別の言葉遣いを身につけることだと指摘します。自分が持っているボキャブラリーとまったく違うボキャブラリーに入っていくことで、考え方が根底から変わることが変身であり、勉強なのだといいます。

言語に対する哲学者二人の絶大な信頼感

『言語が消滅する前に』では、歴史に触れるには結局資料を読解するしかなく、パロール(話し言葉)ではなくエクリチュール(書き言葉)からしか歴史を読み解くことはできないと二人は語ります。また、言語というのはとても分かりづらく直接的な表現ではないことから、直接的満足の延期にあるけれども、現代は直接的満足を得る方向に進んでいるのではないかと、SNSなどを例にして指摘しています。

言語という身近でありながらも、それを起点に論を展開するお二人の対談、とても面白いのでおすすめです。『中動態の世界』『勉強の哲学』『思いがけず利他』の副読本としてもおすすめです。

内容も単純に面白いのですが、何より言語を生業とする千葉さんや國分さんの、言語に対する信頼感の絶大さを感じる一冊です。自分は建築の設計を生業としていますが、建築というものに対する信頼感を自分自身も確固たるものとして抱いていたいなと改めて感じた一冊です。

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