フランスのグラン・パレ

今日はフランスのグラン・パレをご紹介します。

グラン・パレは1900年のパリ万国博覧会の際に建てられた建物です。ファサード(建築正面部)はボザール様式の古典的な石造りとなっており、そこにガラスの大屋根がかけられています。

外観に採用されているボザール様式とは建築様式の一つです。パリにあるフランス国立美術学校のエコール・デ・ボザールで1830年代から19世紀末までに教えられた学術的な建築様式のことです。

エコール・デ・ボザールではイタリアの建築家アンドレア・パッラーディオが1570年に刊行した「建築四書」という建築理論をまとめた書物を中心に教育が行われていたようです。そのため、ボザール様式はルネサンス様式と呼ばれる古典古代を参照した様式となっています。

外観は古典的なものですが、屋根のガラス屋根や内部の鉄骨階段はアール・ヌーヴォーの曲線的なデザインが施され、現代的です。アール・ヌーヴォーは19世紀末から20世紀初頭にかけてヨーロッパを中心におこった芸術運動です。花や植物などをモチーフにした曲線的なデザインが特徴です。グラン・パレも万博の建物として建てられたので、当時の最先端のデザインを取り入れていたといえます。

1993年にガラス屋根の一部が崩落しましたが、大規模な改修が行われ、2005年に再度開館しました。今は美術館として使われています。

私が行ったときは、クリスチャン・ボルタンスキーの展示が行われていました。クリスチャン・ボルタンスキーは日本でも多くの展示を行なっています。直近だと2019年の国立新美術館の大規模な回顧展です。

グラン・パレの巨大な空間とクリスチャン・ボルタンスキーの作品の相性が最高で、私が今までみてきた展示の中でも群を抜いて印象に残っている展示でした。クリスチャン・ボルタンスキーの作品にはこれぐらいの空間のスケール感が必要に感じます。

パリにはたくさんの名建築があり、好きな建築をあげたらキリがないですが、グラン・パレは中でも私のお気に入りの建築です。